新新・たまんにっき

文学と洋画、アニメ、漫画に萌えるインテリア大好き乙女の気まぐれ日記

『MASTER & APPRENTICE』第8章読了、オビの慟哭について

令和になって、二日目。せっかくの連休だというのに、雨がちの天候が続いております、東京。駄菓子菓子、プライム・ビデオとオビ洋書の読書で、退屈もせずに楽しくのんびり過ごせているのが幸せです~♪ 加えて、今日は、唯一の締め切り原稿を粗々書き上げてしまおう。そして、明日からは晴れるらしいから、お外へ遊びに行くんだ☆

ということで、おうちに籠もっているおかげで『MASTER & APPRENTICE』もあっという間に第8章まで読了してしまいました! まあ英文が簡単だからね。それと、クワオビ中心に話が回っていて、クワオビの出番が多いから、読書のモチベーションも上がるってもんで。

では、第8章までの萌えポイントを手早くご紹介しまあす。クワイ=ガンはカウンシル・メンバーに誘われた事態を、パダオビちゃんになかなか言い出せないでいます。このあたり、オビを傷つけたくないというクワイの優しさ、というか、優柔不断な情の濃さがよく表現されています。ところが! 

惑星ピジャルへ赴く任務を、元老院議長(パルじゃありません)から言い渡される際に、なんと元老院議長が口を滑らせて、パダオビの目の前でクワイに「カウンシル・メンバーに誘われて、あなたにとって今が重大な時期だとわかってはいるが」と言ってしまうんです! 他人の口からクワイのカウンシル入りを知らされたパダオビのショックと言ったら! そして、まさか議長がこんなタイミングでそのことを口にするとは思わなかったクワイの、「しまった!」といううろたえぶりといったら! 翻訳。↓

 オビ=ワンは口もきけず、耳も聞こえなくなったかのように感じた。ただ、自分の息づかいと鼓動だけを感じていた。衝撃は彼の全身を貫いて、恥ずかしさ以外の感覚を麻痺させた。

 一瞬、クワイ=ガンの眼とオビ=ワンの眼がかち合った――ほんの一瞬だったが、オビ=ワンがマスターの眼に痛々しい光をみとめるのには充分の時間だった。クワイ=ガンがオビ=ワンにこのことを告げていなかったことを悔いている事実がわかっても、オビ=ワンにとってはそのことは何の助けにもならない。むしろ、そのことが事態をもっと悪くしていた。(中略)

(彼は私にこのことを告げる必要はまったくないと考えていたのだろうか? 私には、この情報を知るべき資格すらないと?)

 煩悶しながら、オビは真夜中の聖堂を歩き回り、心の中の嵐と戦い続けます。マスターから直に告げてもらえなかったことは、パダワンとして最大の恥であると、パダオビは悲しみ、恨むのですね。無理もない。そして、パダオビはこんなふうに考えて、いっそう自分をみじめに思ってしまいます。↓

 自分はこの聖堂で、マスターが自分を捨ててカウンシルに入ることを知らなかった、文字通り最後の者なのだろうか?(=聖堂中の人々は、自分以外このことを知っているのだろうか?) そうでないとしたら、自分は皆に向かって、「なぜ17才にもなっているのに、改めて新しいマスターを探さねばならないハメになったか」を説明しなければならないことになったのだろうか? オビ=ワンはいままで、そんな事態に陥ったパダワンを聞いたことがない。1万年近い聖堂の歴史の中で、使い捨て扱いされた最初のパダワンということに、自分はなるのだろうか?

 このくだり、読んでて涙が滝のように流れましたわ、奥さん!(泣) ただでさえ、パダオビちゃんは13才までマスターが決まらなくて、農場送りになる寸前、クワイと出会って、クワイにすがり頼み込むようにして彼のパダワンにしてもらったんだよね。それがまた、今度はクワイのカウンシル入りという事態で、17才にもなって初めからマスター探しをしなくちゃならない、何という恥ずかしさかと、パダオビちゃんは苦しむのです。。。

 自分の心の中を荒れ狂う恨みの闇を鎮めたいたいめ、オビは真夜中のパダワン道場へ行き、そこで一人でライトセーバーの型の稽古を始めます。ライトセーバーを振るっているうち、だんだん闇が心から退いていきます。ここで、クワイがこれまで、オビにライトセーバーの基本形しか教えず、その次の応用段階にまで彼を指導しようとしない事実が書かれます。パダオビちゃんは素直に言うことを聞いていたのですが、こういう事態になって初めて、クワイが基礎しか教えない理由を疑い始めるのです。そこへ、クワイが姿を現し、オビの練習を観察して褒めてくれるのですが、恨みを抱いたパダオビはクワイと口論になってしまいます。翻訳。↓

 言葉に出せない強い非難の感情が、水流のようにオビ=ワンからクワイ=ガンへと流れ込んできた。クワイ=ガン・ジンは完璧な男ではなく、いろいろな意味で異端児だ。しかし、オビ=ワンはマスターの、どんなことにも乱されない落ち着きと気安さをうらやましく思っていた。オビ=ワンと口論したり道場を出て行ったりする代わりに、クワイ=ガンは話しかけてきた。

「おまえに、今朝のことを謝りたく思う。こんなふうに、私へのカウンシルからの誘いを、おまえに知らせるべきではなかった。私はおまえに話そうと考えていたんだ。ただ、自分でもこの誘いを受けるかどうか決めかねていたのだ、おまえに話すのは決定した後にしようと」

 オビ=ワンは苦笑して一歩下がった。「決めかねていたって、本気でカウンシルからの誘いを辞退なさる気持ちがあるとでも? 信じられません」

 クワイ=ガンはため息をついた。「まあ、いい。おまえの反応は理解できるよ。だが、私は本気で悩んでいるんだ。責任を要求される立場に自分が就任することを決めてしまう前に、私自身の内部の問題を解決する必要がある」

「あなたは私と、そのことについて話し合おうなんて、夢にも思わなかったくせに!」

 オビ=ワンの叫びは、ついにクワイ=ガンの岩のような平静さをも打ち砕き、彼を突き貫いた。クワイ=ガンの返事する声には、トゲがあった。「おまえは今このことを話し合うには、心を乱しすぎ、理性を失っているようだ。たぶん、私は正しいと思うが」

「あなたは、私の反応は理解できるとおっしゃいました」オビ=ワンは言い返した。「それならなぜ、真実を聞く機会を私から奪おうとなさるのか?」

 クワイ=ガンは幅広のベルトに両手をかけた。このポーズは、彼が自分の内に引きこもる時の癖だった。

「これについては、別の機会に話し合った方がいい。今は、私達二人とも、議論にふさわしい冷静さを失っている」

 ひどく傷つけられていても、オビ=ワンはクワイ=ガンが正しいことを言っているとわかっていた。けれど、彼は簡単に話を打ち切られてしまうことが我慢できなかった。

「私はずっと、あなたが私に基礎の型しか教えてくれないのは何故だろうと思っていました」オビ=ワンはライトセーバーを回転させ、低い位置に下ろした。「きっと、あなたは私の技術がまだ未熟だとみなしているからだろうと思っていました。そう、なぜ次の段階へ進ませてくれないのだろうかと・・・。今、私はその答えを知りました」

「それについては、私に説明させて欲しい」と、乾いた声でクワイ=ガンは言った。

「あなたは何とかして私をパダワンから下ろすことを、ずっと前から決めていたからなんだ。私達がマスターとアプレンティスの関係を続けていかないなら、私に先のステップを教える必要はないですものね? 挑戦させる必要もありませんものね? あなたは、誰か別の人間が私の訓練を最終的に終わらせるだろうと、知っていたんだ!」オビ=ワンはライトセーバーのスイッチを消した。「結局、私が調べていた予言者というのは、あなた自身のことだったんですね、マスター」

 もうね、滂沱の涙ですよ! 可哀相なパダオビ! パダオビが何をしたというの? 一生懸命がんばってきたパダオビちゃんが、なぜこんなに苦しまなくちゃならないんですかね!?

おのれクワイ!! いつもいつも、おまえはパダオビを泣かせおって!!(怒怒)

 しかし、こういうクワオビの喧嘩シーン、萌えが走ることは間違いない。(笑) この後、激しいオビ=ワンの慟哭の叫びに、クワイ=ガンは次のように答えます。↓

「私がおまえに基本の型しか教えないのには理由があるのだよ、オビ=ワン。いつかおまえがその理由を理解した時、おまえは私達が他に優れた師弟関係だったとわかってくれるだろう」

これこそ予言ですね! 結局、クワイの指導のもと、オビは実にシンプルでエレガントなライトセーバーの使い手になります。派手さはなく、堅実で、ひたすら防御に徹したオビの技術は、しかし、基本に徹しているからこそ、メイス・ウィンドゥには「ザ・マスター(私を越える者)」と言わせ、あの選ばれし者アナキンを一騎打ちで打ち破る最強のジェダイに育つことになるわけで・・・萌え!! 基本こそが最強という教えを、クワイはオビに徹底的に仕込んだのですね。

まあ、こんな感じですったもんだあるのですが、例によって素直なオビは先にクワイに謝り、クワイのカウンシル参加を言祝ぎます。二人は一緒に惑星ピジャルに赴くのですが、その星のシールドが非常に古くて原始的なのを見て、オビは「こんなロートルなシールドしかないのに、よくこの星の住人は安心して夜寝られますね」と、正直で無知な発言をしてしまいます。それを聞いたクワイは、心中で、

「おまえはどんだけ甘ちゃんなんだ」

と、思ってしまいます。(笑) というのも、ジェダイ聖堂はコルサントという文明が発達した星にあって、ジェダイ達は赤ん坊の頃から最高の金持ちの環境で馴らされているわけで、オビの発言もそうした聖堂育ちの箱入りお嬢様の発言なんですよね。シールドもろくにない貧しい星の状況を、オビは時々「例外」とみなす癖があり、彼の常識はコルサントの環境が前提となっています。そのことを、クワイは時に苦々しく思うわけです。

このあたり、後にアナキンがオビにイライラして、オビがアナキンの奴隷時代の環境に軽く触れるたびに傷つく事の、伏線になっているみたいですね。オビは素直で公平な人格ですが、クワイに育てられなかったら、聖堂育ちの箱入りお姫様のままで、知らずに下層の人々を傷つけていたでしょう。デックスと友達になることもなかったと思います。クワイ=ガンの教育あってこその、後の銀河一のネゴシエーターオビ=ワン・ケノービが誕生するのですねえ~♪