新新・たまんにっき

文学と洋画、アニメ、漫画に萌えるインテリア大好き乙女の気まぐれ日記

なぜ許してやれんのだ台羽、死に場所を求めてさすらう命を……

世間様は三連休でも、私には関係ありませぬ〜な、お仕事ガールの毎日です。(笑)

タイトルは、もういい加減にしろと言われても止まらない井上ハーロックのセリフでございます。
捕らえたマゾーンの指揮官を解放してやるハーロックですが、父の復讐に我を忘れている台羽正は、一人、スペースウルフでマゾーンを追いかけ撃墜してしまうんです。若さ故の残酷さを見せる台羽の行動を、アルカディア号の艦橋から見つめながら、ハーロックがぽつりと呟くのが、このセリフなんですね。

怒鳴るでもなく、焦るでもなく、ただただせつなく痛ましい表情で、このセリフを呟くハーロックという演出は、ハーロックという男の人柄を示す実に見事なものでした。
1978年版アニメがハーロック物の決定版と言われる所以は、こういう、さりげない演出にあるんですよね。これは原作漫画にはない、アニメオリジナルの演出です。

原作漫画ではハーロックはよく怒鳴っていますが(笑)、アニメのハーロックは全くといっていいほど怒鳴ることがありません。物静かで、それこそ「何を考えているのか、わからない」男のようです。
でも、その大きな背中と、ふとした目の表情、漏らす微笑とで、クルーは安心してキャプテンについていく……そんな描写が本当に説得力ありました。

今作映画はこの「何を考えているのかわからない」あたりを、めっさ改悪してくれましたけどね!!(怒)

初期の方のエピソードで、台羽正にハーロックが平手打ちを食らわせるシーンがあることはありますが、それも、宇宙の広大さとアルカディア号の艦内に慣れないところから来るノイローゼと激しい復讐心とでラリった台羽を正気付かせるための、慈愛の平手打ちですからねー。

ローラというマゾーンの催眠術に二度も引っかかった台羽に対しても、怒鳴りつけることはなく、フッと笑って、
「またやられたな、台羽」
とからかうように言うハーロックの優しさと寛大さ。

間違いなく上司にしたい男ナンバーワンです!!

この1978年版アニメって、最初はおそらく台羽正の視点からみるハーロックという方針だったのでしょうけれど、回が進むに連れ、どんどん台羽の存在が薄くなり(笑)、ハーロック本人の色気が増していって、中盤からはもうハーロック自身に焦点をがっつりあてて描くようになりました♪
こうなった要因には、まゆちゃんの存在が大きかったかもしれませんね。まゆちゃんを想うハーロックの内面のドラマが、かなり強烈で、台羽正の復讐ドラマはどっかいっちゃった気配、(笑)

そんな作品なので、たとえば台羽正がハーロックを襲名するなんて、とても考えられることじゃなかった。
ハーロックを、その優れた演出で唯一無二の男に仕立ててしまった1978年版アニメは、最後、どうすることもできなくて、ハーロック以外のクルーを全て地球に降ろし(ミーメとトリさん除く)、ハーロックをたった一人で去らせるエンディングにするしかなかった。
最終回で、クルー全員を集めて、海賊稼業解散を告げるシーンの演出も、こうしたハーロックの内面を象徴する、見事なものでしたのよ。
マゾーンを倒し、これからどうするのかとクルー達に問いつめられたハーロックが、最終決断として告げる言葉、それは……

ハーロック「解散したい……」

というものでした。
「解散する」ではなくて、「解散したい……」という、またまた呟くようなセリフが胸にしみる。
皆には地球でやるべきことがある、でも自分には何もない。それを悟った男の、黙って静かに立ち去る、そのダンディズム溢れる優しさと厳しさは、ちょうど劇場版「999」で、メーテルが鉄郎と別れる時に、鉄郎が「もう会えないのか」と問うのに対して肯定の肯きを与えるのと同じ。

♪あの人の目が頷いていたよ〜 別れも愛の一つだと〜
メーテルが悲しみを堪えて別れを告げたのと同様、ハーロックも心の中でせつない孤独を感じていたに違いない。
幼児心に、この最終回、アルカディア号で一人飛び去っていくハーロックの優しい微笑みに、胸を抉られるような想いを抱いたものです。。。

だからこそっ、今作映画でハーロックが不老不死になるという設定は、或る意味、私にはとても嬉しい設定でもあったのにっ!!

西暦2979年、アルカディア号で一人旅立って、一人でおそらく孤独に死んだに違いないハーロックのせつなさが、幼児心にトラウマを残してしまったあの別れが、もしかしたら今作映画で慰められるのかもしれないと期待していただけに、脚本家によるとんでもないハーロック解釈の打撃はキツイわー。

今作映画、続編とか考えてるんですかね?
もし続編やるとして(無いと想うけど)、そのとき、もしやしてヤマを二代目ハーロックとかにするつもりじゃないだろうね??

イヤです!!(断固)

冗談でしょ、あんなオマヌケな事故起こして相手に大怪我させたアホウな若者が、二代目ハーロック!?

イヤです!!(反対)

続編やるなら、ハーロック新作アニメのバージョンみたいに、まるっきり設定を変更して一から作り直せって話ですわー。
頼みますよ、マジで。